「貯蓄から投資へ」スローガンの大罪

金商法では、金融機関が投資商品を投資家に販売するに当たって、キチンとリスクを説明することとされている。それまでも金融機関にはリスク説明の責任があったが、それがより強化されたと理解していただければいい。これは投資家保護の観点で導入されたのだが、実際のところは金融機関保護にしかなっていない。あとになって個人投資家が金融機関に文句を言っても、「だって、あの時キチンとリスクを説明したじゃないですか。私たちには何の責任もありませんよ」と金融機関側が言い逃れをすることができる。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0801/17/news023.html

この記事の著者である保田隆明氏のブログはたまにチェックしているのだけれど、何故こんな記事を書いてしまったのかが解らない。
金商法では、販売側の説明責任、投資家の損益にかかる自己責任、つまりは各プレイヤーが果たすべき責任の範囲を明文化したというだけの事であって、言い逃れがどうこうとは全く論理関係がない。
今も昔も、個人投資家が投資の結果について金融機関に文句を言うのは(通常は)筋違いである。
ただ、以前は、詐欺的な或いは強引過ぎるような営業活動が蔓延していたというのはどうも事実で、その意味で「私達には何の責任もありませんよ」と胸を張って言えないようなところがあったのである。
だから「私たちには何の責任もありませんよ」と胸を張って言える状態は、むしろ正常であるし、金商法はこの「正常な状況」を制度的に担保しているのだという解釈が正解でしょう。
保田氏には申し訳ないが、この一文はひどい。

貯蓄から投資へというスローガンを鳴らして個人の資産をいたずらに投資に向かわせた国の罪は重い。

このスローガンには問題があるという点には同意。
ただ、国の責任というよりも、マスコミとか金融機関の乗っかり方に問題があったんじゃないかという話もあるし、安易に信じちゃった方にも当然責任がある。
そもそも誰かに罪なんかあるのか?という話もある。