監査現場の再生を急げ

まめにチェックしているblogのひとつに、ビジネス法務の部屋があります。
会計や内部統制等に絡んだ話も非常に多くて、いつも読み応えがあるのですが、先日のエントリに気になる記事があったので紹介いたします。

*1疲弊する監査現場の再生の道筋として、佐伯先生は三点を挙げておられ、どれも当ブログで何回か話題となっていたものでありました。ひとつは訴訟を意識した「過剰ともいうべき監査マニュアルの導入」であり、今後は経済事件において逮捕、起訴、判決のありようとその報道について、事後的に専門家が検証できる仕組みが不可欠、と主張されています。
ふたつめは「期待ギャップ」に関するものであり、会計士側としてはこれには言い分もあるようですが、どういった理由があるにせよ、会計監査への社会の期待には応えなければならないとして、日本公認会計士協会の会計士不正への対応に厳しい注文をつけておられます。
そして三つめとして「制度のねじれ」を挙げておられますが、(制度のねじれとは、一般に企業を監査する立場の人が、その対象企業から報酬をもらっているために、どうしても甘い監査になってしまうのではないか・・・という制度の構造上の問題のことを指します)これもまた社会から期待されている会計監査の実現を妨げる要因である、とされています。

会計士疲弊〜監査現場の再生を急げ〜


一年以上も監査論を勉強していると、「解る!おれにも解るぞ!!」と、それなりに楽しく読めます。
ここに挙げられている話や、会計士の合格者増加の件もそうなのですが、会計士業界というのは良くも悪くも転換期にあるのだと理解しています。
会計士としてどのような立ち位置で、どのような役割を果たしていくのかについて、私達世代の人間は、今までの人たち(会計士)以上に、主体的に考え行動していく必要があるのだと思います。そうでなければならないのだと。
課題は既に目の前に積まれていて、必ずしも明るい先行きとは言えないかもしれません。
しかしながら、それ故に、私はこの仕事について、期待と意欲と希望を、胸に強く抱いています。
また、同じくそういった気持ちを持つ仲間と共に、仕事をしていけたらと考えているわけです。


最後に、私がとてもとても大切にしている唄を引用します。*2

見せかけばかりじゃない 口先だけでもない 
いつか見るだろう
同じこぶしをにぎりしめて立つ人を きっと見るだろう
その時ぼくたちは 何ができるだろう
右手と左手で 何ができるだろう
命のあるかぎり 忘れてはいけない
今しかぼくにしか 出来ないことがある*3


すこしだけ苦言。佐伯先生の話、書いてあること自体はまあ分かるのですが、この「三点の指摘」と「疲弊再生」との繋がりがよく解らなかったです。blogへの引用のされ方が不味いのかもしれないですが、記事の後段で、「三点が再生の道筋だとしましても、それで本当に会計士の皆様が「子供に職業として勧めたくなるような会計監査」となるのかどうかはちょっと疑問のような気もいたします。」とあるので、元記事が不味いのかもしれません。

*1:日本公認会計士協会東海会の調査では、主として監査業務に従事しておられる会計士の半数以上の方が「子供には勧めたくない」業務と回答されているとのこと

*2:ブルーハーツ「街」

*3:youtubeに見当たらなかったのでニコニコにリンク